凡事徹底

凡事徹底という言葉を聞いたのは「スーパーエリートの条件」的なセミナーを受けたときだった。
講師は慶大卒のきらびやかなエリートで最新のマネジメント理論やITを駆使した先端の情報管理などを期待したのだが内容は極めて平凡だった。「当たり前のことを徹底してやる」煎じ詰めればこれだけが「スーパーエリートの条件」とのことで拍子抜けした思いだったが、今、振り返って見た時、もう少し真剣に受け止めておけばよかったと後悔している。
そのセミナーのネタ元がこの本、鍵山秀三郎「凡事徹底」。今、あらためて読み返してみても新鮮で学びが多い。私たちは常に新しい情報や新しい方法に飛びつき、飽きてはまた刺激のあふれる新しいものを求めるものだが、それほど進歩しているわけではない。その反面、単調ではあるが徹底して同じことをやり続けることの迫力は並大抵のものではない。
結局、自分にとって満足できる人生であればいいと思うのだが、それは意味のある時間をどれだけ持てるかに尽きるだろう。言葉を変えるならば「無駄をなくすこと」。著者によると無駄をなくすためには「気づく人になる」ことが重要なのだという。

  • どうしたら無駄が少なくなるかということですが、気づく人になること
  • 気づく人になる二つの方法

  ①微差の積み重ねを大切にする  ②一歩踏み込んで人を喜ばせる。
「私は人が見過ごしたり、見逃していたり、見捨てたりしてきたものを徹底的して拾い上げ、それを大事にして今日まできました。個人の生活では、履物を揃えるとか、朝起きたら布団をたたむとか、食事が終わったら食べた器を台所に運ぶとか、そういうことをきちんとやってきました。」
同じことをやっても、「心を込めて」やると違う。「心を込める」という努力には無限の深さがある。与えられた時間がほぼ同じである以上、深さを求める以外に真の差はないのではないか。
全然話が違うが「左利きのエレン」というマンガで主人公が平凡な絵を書く友人の絵に書き足しながらこうつぶやく。
「もっと奥があるんだよ」と。
同じようなことをやりながら、日々に微差を積み重ねていく生き方には叶わないのかもしれない。

  • 無駄が多い。たとえば、自分の手元にある商品の価値がわからない。そのものの持っている価値がわからない。自分の手の中にある商品の魅力を見出すことができなくて、たえず目がよそへ散ってしまうことが多いということです。
  • どうしたら無駄が少なくなるかということですが、気づく人になること
  • 気づく人になる二つの方法①微差の積み重ねを大切にする
  • 夏目漱石が芥川龍之介に書いた手紙「世の中は根気の前には頭を下げることを知っています。火花の前には一瞬の記憶しか与えてくれません。だから、牛のよだれのように、もっと根気よくなりなさい。」
  • 気づく人になる方法②一歩踏み込んで人を喜ばせる。
  • 二宮尊徳 若いころにクワを借りに行った。今から使うから貸せないといわれた。「私が代わりにやります」→それ以降、何でも困ったことがあったら言ってきなさいと言われた。
  • 私は人が見過ごしたり、見逃していたり、見捨てたりしてきたものを徹底的して拾い上げ、それを大事にして今日まできました。個人の生活では、履物を揃えるとか、朝起きたら布団をたたむとか、食事が終わったら食べた器を台所に運ぶとか、そういうことをきちんとやってきました。→家庭がよくなる。
  • メーカーの倉庫に積んで売れなくなった商品を私が借りては売るということを続けてきた。リングカバー三十年に渡って売れ続けている。
  • 良樹細根―根深ければ葉繁し 普通は良樹だけをやろうとする人が多い。絶対不可能
  • ほとんどの人の合理化というのは、自分にとって不都合なことを人に押しつけることです。
  • 夜中まで血眼になって、やらなければいけないような社会になったのは、みんながお互いに他人に不合理を押しつけあっているからです。→不合理を取り込み、合理化する
  • 老子→「終身道を譲るも百歩を枉げず」
  • いくら立派な知識や技能を身につけても、幸せな人生にはならないと思います。やはり、人との縁はつなごうという意思と努力がないとつなげないものです。
  • 自分自身はいつも何にでも感謝の気持ちを持っているかどうかが縁をつくるかどうかの第一歩です。感謝の気持ちのない人は絶対にいい縁はできないと思います。
  • 感謝の気持ちを持ち、それから感動する人間でないと、縁もできません。けれども、このごろ、人は感動しなくなりました。感動ができないのかというと、感動するチャンス、動機というものがなくなって感動できないだけであって、本当は感動できるんです。
  • 人間の喜びで最たるものは、人に頼りにされ、人にあてにされることです。どれだけの財産を持っていても、人にあてにされない、大して頼りにもされていないということになったら、生きていく甲斐もなく、どんどんエネルギーを失って老化していきます。
  • 「因果一如」→原因をつくったときには結果も同時に生まれるということです。
  • 結果をよくしていくためにはどうしたらいいかというと、気づく人になることです。
  • 少女パレアナ→「喜びのゲーム」
  • 一人光る。みな光る。何もかも光る。→ 陶芸家 河井寛次郎
  • 人間は義務でやらなくてもいいことがどれだけやれるかということが人格に比例していると思います。
  • 気づく人になるためには、掃除を徹底してやることです。それから、もう一つは、「いつも人を喜ばす」ということです。この二つを抱いていっただけで、一年たったら見違えるように人間は変われるということをお約束します。
  • 「躓いたり転んだりしたおかげで、

ものごとを深く考えることができるようになりました。過ちや失敗を繰り返したおかげで、少しずつ人のことを暖かい目でみられるようになりました。何回も追い詰められたおかげで、人間としての自分の弱さ、愚かさを知ることができました。騙されたり裏切られたりしたおかげで馬鹿正直で親切な人の暖かさを知りました。」 相田みつを

  • 「騙され良くなり、悪くなっては駄目

   いじめられて強くなり、いじけてしまっては駄目   踏まれておきあがり 倒れてしまっては駄目   いつも心は燃えていよう 消えてしまっては駄目   いつも瞳は澄んでいよう 濁ってしまっては駄目」 坂村真民

  • オレはこんな修羅場を潜ってきたから怖いものはないんだという人間になってしまっては駄目です。どんな厳しい体験をしてきても、瞳は濁らない、そういう人生を送らなければ意味がありません。
  • 「攀念智」→人を恨んだり憎んだりすると、あたかも何かにしがみついてよじ登るかのごとく、どんどんエスカレートしていきます。
  • 本当の誠意というのは、空気を通して相手に通じます。自分が本当に自信を持たずに言ったことは、同じ言葉であっても通じません。ですから、私はまず自分のほうからきちっとするという考え方でやっています。
  • 「小さく生きて大きく遺す」
  • 「人間が残すべき遺産とはなにか。金やものなど財産を残すことも意義がある。しかし、それは何人にでもできることではない。何人にもできて、お金やものより価値のあることは、勇気ある高尚な生涯だ」 内村鑑三
  • 与えられているものを最大限に生かすことを考える。
  • 「井の中の蛙天を知る」 井の中の蛙であっても、志さえあれば天の青さ、天の深さを知ることができる。

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